絶対零度とは、温度の最低限界である-273度のことを指します。この温度よりも低い温度は存在しないとされています。では、なぜ絶対零度以下の温度は存在しないのでしょうか?
物質の振る舞い
絶対零度以下の温度では、物質の振る舞いが大きく変わります。通常の温度では、分子が運動しているため、物質は液体や気体として存在します。しかし、絶対零度以下になると、物質の分子がほとんど動かなくなり、固体として存在するようになります。
このような物質の振る舞いは、熱力学第三法則によって説明されます。熱力学第三法則とは、温度が絶対零度に近づくにつれて、エントロピーが0に近づくという法則です。エントロピーとは、物質の乱雑さや不規則性の度合いを表す物理量であり、温度が低くなるにつれて、物質のエントロピーは低下していくとされています。
量子力学
また、絶対零度以下の温度では、量子力学的な現象が起こるとされています。量子力学とは、微小な粒子の振る舞いを説明する物理学の一分野であり、絶対零度以下になると、物質の振る舞いが量子力学的な現象に支配されるようになります。
例えば、超伝導現象があります。超伝導現象とは、電気抵抗が0になる現象であり、絶対零度以下になると、物質が超伝導体として振る舞うようになります。
絶対零度以下の温度を実現することはできるか?
絶対零度以下の温度を実現することは、理論的には可能です。実際に、科学者たちは超冷却液体やレーザー冷却といった技術を用いて、極低温の物質を生成しています。
しかし、絶対零度に達することは不可能です。絶対零度に達するためには、物質のエントロピーを0にする必要がありますが、これは不可能なことです。また、熱力学第二法則によって、熱は常に高温から低温へと移動するため、絶対零度に達することは物理的に不可能とされています。
まとめ
絶対零度以下の温度が存在しないのは、物質の振る舞いや量子力学的な現象によるものです。絶対零度に達することは不可能ですが、科学者たちは極低温の物質を生成することができています。