2003年に公開された映画「ラストサムライ」は、アメリカの映画監督エドワード・ズウィックが手掛けた作品で、トム・クルーズが主演を務めました。この映画は、19世紀後半に起こった日本の戊辰戦争を背景に、アメリカ人将校が日本の武士道に触れ、成長していく物語です。
しかし、この映画には時代考証の問題が指摘されています。その中でも特に注目されているのが、「忍者」の描写です。
ラストサムライに登場する忍者の問題点
ラストサムライでは、アメリカ人将校が率いる傭兵団が、日本の武士たちと戦う場面があります。そして、その傭兵団には、忍者が含まれています。
しかし、19世紀後半の日本では、忍者はほとんど存在していません。忍者が盛んだったのは、15世紀から16世紀の戦国時代であり、江戸時代にはほとんど姿を消しています。
さらに、忍者は主に情報収集や暗殺などの任務を担っていたため、戦闘に参加することはほとんどありませんでした。そのため、傭兵団に忍者が含まれることは、歴史的には考えられません。
なぜ忍者が登場したのか
ラストサムライに忍者が登場した理由は、映画のエンターテインメント性を高めるためだと考えられます。忍者は、海外でも日本文化の代表的なイメージの一つであり、アクションシーンにおいても存在感を発揮するため、監督が意図的に登場させた可能性が高いです。
また、海外の観客にとっては、日本の歴史や文化に詳しくないため、時代考証の問題に気づかない場合もあるかもしれません。
忍者以外の時代考証の問題点
ラストサムライには、忍者以外にも時代考証の問題があります。例えば、傭兵団の中には、19世紀末のアメリカ西部開拓時代に使われた銃が登場します。
しかし、19世紀後半の日本では、銃はまだ普及していませんでした。当時の日本では、主に刀や槍などの武器が使われていました。そのため、銃が登場することは、時代考証的にはおかしいと言わざるを得ません。
まとめ
ラストサムライは、日本の歴史と文化を描いた作品であり、日本人にとっては興味深いものです。しかし、時代考証の問題が指摘されているため、歴史的な正確さには疑問が残ります。
特に、忍者が登場することは、歴史的に考えるとおかしいと言わざるを得ません。ただし、映画はエンターテインメント作品であり、時代考証に厳密な制限を設けることはできません。観客に楽しんでもらえる作品になっているということは、評価できる点でもあります。