日本では、平均年収や中央値の年収がよく話題になります。しかし、これらの数値はどちらが現実に近いのでしょうか?
平均年収とは
平均年収とは、全員の年収を合計して、人数で割った数値です。例えば、ある企業の従業員の年収が以下のようになっていたとします。
- 200万円
- 300万円
- 400万円
- 500万円
- 600万円
これらを合計すると、200万円+300万円+400万円+500万円+600万円=2000万円となります。そして、従業員の人数が5人だった場合、2000万円÷5人=400万円となります。つまり、この企業の平均年収は400万円ということになります。
中央値とは
中央値とは、全員の年収を小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中にくる数値のことです。例えば、ある企業の従業員の年収が以下のようになっていたとします。
- 200万円
- 300万円
- 400万円
- 500万円
- 600万円
これらを小さい順に並べると、200万円、300万円、400万円、500万円、600万円となります。そして、ちょうど真ん中に来るのは、400万円と500万円の間の450万円です。つまり、この企業の中央値の年収は450万円ということになります。
平均年収と中央値の年収の違い
平均年収と中央値の年収は、全員の年収に対する考え方が異なります。平均年収は、全員の年収の合計を人数で割った数値です。つまり、高い年収の人がいる場合、その影響を受けて平均年収が上がってしまいます。
一方、中央値の年収は、全員の年収を小さい順に並べ、真ん中に来る数値です。つまり、高い年収の人がいたとしても、その影響を受けずに中央値の年収を求めることができます。
例えば、ある企業の従業員の年収が以下のようになっていたとします。
- 200万円
- 300万円
- 400万円
- 500万円
- 1000万円
この場合、平均年収は(200+300+400+500+1000)÷5=480万円となります。しかし、中央値の年収は400万円となります。つまり、この企業の従業員の大半が400万円以下の年収であることが分かります。
平均年収と中央値の年収の使い方
平均年収と中央値の年収は、それぞれの特徴に応じて使い分けることができます。
例えば、企業の年収を比較する場合、平均年収を使うと、高い年収の人がいる企業が優れているように見えてしまうことがあります。一方、中央値の年収を使うと、平均よりも現実的な年収の傾向が見えるため、より正確な比較ができます。
また、政策決定の場合には、平均年収よりも中央値の年収が重要となることがあります。なぜなら、平均年収は高い年収の人がいる場合に影響を受けるため、実際の生活に必要な収入を得ていない人がいることが分かりにくくなるからです。
平均年収と中央値の年収の比較
平均年収と中央値の年収を比較すると、どちらが現実に近いかは、それぞれの状況によって異なります。
例えば、企業の年収を比較する場合には、中央値の年収が現実に近いと言えます。なぜなら、一部の高い年収の人がいても、大半が中程度の年収であることが分かるからです。
また、日本の国民の平均年収は、約420万円(2019年)と言われていますが、中央値の年収は、約330万円(2017年)と言われています。つまり、日本の国民の大半が330万円以下の年収であることが分かります。
結論
平均年収と中央値の年収は、それぞれの特徴に応じて使い分けることができます。企業の年収を比較する場合には、中央値の年収が現実に近いと言えます。政策決定の場合には、平均年収よりも中央値の年収が重要となることがあります。そして、日本の国民の平均年収や中央値の年収は、それぞれ約420万円と約330万円であり、大半の人が中程度の年収であることが分かります。